稲葉:よく言われていることですけど、ある特定のシステムが多くの人に知れ渡ると有効性が低下する可能性があるんじゃないか、という指摘がシステムトレードの世界で言われているんですけど、これはどういうふうに思われますか。
斉藤:全然影響がないとは言い切れない部分はあるんですね。例えば特に流動性の低い銘柄は寄付きが若干高く始まったり、みんなが全く同じタイミングで取引した場合には、寄付きに影響を与えたりする可能性は、一定のマーケットインパクトは考えられるんです。
けれど、手法そのものがほとんど機能しなくなってしまうとか、根本的に覆されるようなことは起きにくいと思います。手法というのも、みんな同じ手法を使っているわけじゃないし、結局、いろんな手法がごっちゃになって価格が成立しているわけなので。
稲葉:そうですよね。
斉藤:しかも、数十年という期間にわたってずっと有効な手法が突然有効じゃなくなるというのは、さすがに考えづらいです。その裏づけというか、私の逆張り手法なんかも、比較的広まったこともあって若干心配はしていたんですけども、今年もちゃんと有効に機能していたという結果を得ているので、そういう意味ではそれほど心配はしていないですね。
稲葉:特に逆張りのシステムというのは、急落した局面で買うということだから、ルールを知っていても、そこで仕掛けるのは心理的になかなか難しいという問題はあると思いますね。
斉藤:それはあります、確かに。
稲葉:流動性の低い銘柄は排除して、一定程度流動性のある銘柄でトレードしていると、そこまで心配はないということですね。
斉藤:そうですね。
稲葉:斉藤さんは、いいシステムを構築するためのアイデアというのは、いつも自力で追求しているんですか。
斉藤:つくったシステムは完全に自分で検証してつくったものです。ただ、部分的にとか、無意識に、いろいろなサイトを見たり、本を見たりしているうちに参考になっている部分は多々あるとは思います。
稲葉:じゃあ、書いてあるトレード関係の情報サイトとか、あるいはトレード仲間から聞いた話とか情報を自分なりにプログラムして、アレンジして、検証してみて、あれっ、言っていることと違うぞとか、言っているとおりだというようなことを確認した上で、自分のアイデアとして取り込むということも……。それはありますか。
斉藤:いや、具体的にだれかの方法を検証して改良するとかまでは基本的にないです。無意識に勉強になっている部分はあるとは思うんですけど、そのまま取り込んでアレンジとかいうことまではしたことはないですね。
稲葉:じゃあ、斉藤さんの場合は基本的には自力で追求されているということですね。
斉藤:はい。
稲葉:次に行きたいと思います。最近でこそ「システムトレード」という言葉が少しずつ知れ渡るようになってきたと思うんですけど、日本の場合、システムトレードを本格的に学習できる本とかサイトとか、そういった学習環境がまだ少ないような気がするんですね。
今年、去年あたりからではなくて、それ以前からずっとシステムトレードをやっていた斉藤さんですけど、システムトレード関係で参考になったという本とかがありましたら1〜2冊教えていただければと思います。
斉藤:実を言うと、システムトレードに関する本というのはほとんど読んだことがなくて、システムトレードどころか、投資の本もそれほど読んだことがあるわけではないんです。せいぜい20〜30冊とかそんなものだと思うんですけど、意外と本は読まないほうだと思うんですよ。なので、記憶に残る本というのはあまりないんですね。
比較的良質だと言われているのは、もともとアメリカが先端を行っているので、アメリカの本を翻訳したような本が結構レベルが高いという話はありますけど、個人的にはそういう本は特別好きというわけではないんです。
一般の人が読むとちょっと難しく書かれ過ぎている部分があって、本当にそこまでのレベルで書く必要があるのかというのも結構あったんですね。そういうこともあって、もう少し簡単な、万人にわかるような本があってもいいなとは思っているんです。
ただ、最近読んだ本としては、日本はシステムトレードというのは出始めなので、照沼(佳夫)さんが書いた『システム売買 プロのノウハウ』という本は、そのまま使える手法がそっくりそのまま書いてあるわけではないんですけども、システムトレードをやる上で参考になる部分はあると思います。
あとは、株ではないんですけど、『FXシステムトレード 年率200%儲ける投資術』という、池田(悟)さんの書いたものは、初心者が読む本としては、いろいろなアイデアが簡単に書かれていたのでおもしろかったなとは思います。私の読んだ本もそんなに多くないので参考になるかどうかはわかりませんけど、そのぐらいです。
稲葉:ありがとうございます。斉藤さん自身が今年の春先ぐらいに本を書かれたということもありますので、日本もそういう形で、初心者でもシステムトレードが学習できるような環境がちょっとずつ出てくればなと思います。我々もそういう意味では、ビジネスとしてやっていますので頑張っていきたいと思っておりますので、その点はご期待いただければと思います。
(続く)
斉藤正章インタビュー 第一部 目次
斉藤正章インタビュー 第二部 目次
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