稲葉:専業のシステムトレーダーの生活ぶりということで聞きたいと思います。最近はお忙しいんですか。
斉藤:トレードという意味では、はっきり言って場中は全く見ないので、自由に出かけたりして、株価を見るのは夜という感じで、トレーダーとしては全く忙しくないですね。ただ、個人的に幾人かの人たちに頼まれている仕事があったりするので、自分で興味の持てる範囲で手伝ったり、そういう意味では仕事があるといえばあるんです。
そういう意味では忙しいと言ってもいいのかもしれないですけど、サラリーマン時代と比べると、やりたい仕事を選べるということと、好きなときに研究ができるという意味では、随分ゆとりを持って生活できるようになったと言ってもいいと思います。
稲葉:投資で飯を食っていくという理想型ですね。むしろ、システムトレーダーの場合、場中にバンバントレードをやって忙しいというよりは、場が引けてから、あるいは場があいている間もパソコンを使って検証作業をやるという、どっちかというとそっちのほうに忙しくなるのかなという、そんな気はしますね。
斉藤:実際のトレードよりも検証に使う時間のほうが多いと思います。
稲葉:では最後の質問になるんですけど、ずばり、勝てるトレーダーと負けるトレーダーの決定的な違いを教えていただけますか。システムトレードの範囲内でも結構ですが。
斉藤:勝っている人と負けている人というのは、本当の初心者は除いて、違いは結構微妙なものだと思うんですよね。売買の手法は結局、種類には限りがあるので、例えば順張り系、逆張り系とか、基本は数種類しかないじゃないですか。だから、使っている手法というのはみんなそんなに大差はないはずなんです。
何が違うかというと、例えばよく(言われているように)、勝つために必要なのは、売買ルールと資金管理と、あとはメンタル面のコントロールということなんですけど、この中で売買ルールと資金管理の重要性はみんな頭ではわかっているはずなので、結局はルールを守ることができるかというメンタルの部分が一番強いと思うんですね。
私の知っている限りでは、常に負けている人というのはあんまりいないんです。負ける人の多いパターンというのは、当然初心者は別ですけども、ずっと順調に利益を上げていたのに途端に、ほんの短期間の間に失敗してしまう。
要は、順調に利益を積み重ねていたのに、ほんのわずか何回かの取引で、今までの利益を吹き飛ばすぐらいの大きい損失で失敗するケースのほうが多いような気がするんです。そこは、ルールを守れるかどうかというところにかかっていると思うんですね。
結局、ルールを守れるかどうかというのは、自分が許容できる範囲の資金を運用しているか、そうじゃないか、要は、精神的にプレッシャーを受けるような資金を運用しているとルールというのは守りづらくなるので、ルールを守るためには、自分自身がプレッシャーを受けない程度の資金量に運用資金を抑えたりという工夫が必要だと思います。
稲葉:なるほど。システムトレードで重要なのは、結局、ルールを検証して、あとはそこを守るという話なので、検証しないというのは論外としても……、でも、この論外が結構いたりするんですけど。
斉藤:最近聞いた、確かになと思った話で、だれが言ったのか覚えていないんですけど、システム自体は機能するんだけどシステムトレーダーが機能しない、という話をどこかで聞いたことがあるんです。なるほどなと思ったんですけど、確かにそうなんですよね。有効なシステムをつくったんだけど、どうしても相場観を入れたくなるときがあるんです。
特に資金量ですよね。例えば、システムでは均等に資金を入れることになっているんだけど、自信のある取引で多くの資金を入れちゃったり、難平(なんぴん)は1回までなのに3回4回と難平したり、そっちのほうが特に失敗する原因になっていると思います。
稲葉:なるほど。ルールよりも、自分自身の問題というところが大きいですね。そこは株式投資の本質なのかなということで、これは裁量もシステムも、ファンダメンタルもテクニカルも変わらない部分なのかなと思いますね。
斉藤:そうでしょうね。
稲葉:わかりました。それでは、ありがとうございます。
斉藤:どうもありがとうございました。
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斉藤正章インタビュー 第二部 目次
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